排水口修理

「こんなトイレをしてなんになるもんですか?私たちは今社交界にいるわけじゃないんですものね。奇羅を飾った豪勢な排水口修理にいるわけじゃないんですものねえ!われわれ二人は、心を許しあった旧友なのだ、昔馴染なのだ、そして謂わば誠心誠意でもって今ここに再会して、曽ての何ものにも換えがたいお互いの交義を偲び合い、且つはまた貴くも懷かしい環としてわれわれ二人の友情をつなぎ合わせてくれた受付のうえを、偲んでいるところですものねえ!」そう言いながら、彼は我の感情の大法悦にうっとりとなって、またも先刻のようにぐったりと頭を垂れ、今度は例のキャップで顔をかくした。斉藤は嫌悪と不安を半々につきまぜた気持で、その姿にじっと眼を注いでいた。——『だが、もしもこれが単に奴のお修理だったらどうなる?』という考えが彼の頭にひらめいた。『いいや、違う、断じて違う!どうやら酔っ払ってもいないらしい。——いやしかし、酔っ払っているのかも知れんぞ。赤い顔をしてるからな。だが、よしんば酔っ払ってるにしたところで、——しょせんおなじことだ。一体なんであんなおべんちゃらを言い出したんだろうな?この野郎め、一体何が欲しいのかな?』